6月 26

「長谷川利行展 七色の東京」府中市美術館

長谷川利行は、以前から気になる画家だった。
彼の絵を初めて見た時から、一つの独立した世界がそこにあり、それが心に残った。
他の誰とも違う絵だ。一目で彼とわかる。

ずっと気になってきた。
ただ、どこの美術館(近代美術館)でも、彼の絵は2,3枚しか展示されておらず、回顧展などもなかったので、
まとめてその全体を見ることはできなかった。
いわゆる「全貌」がわからなかった。
それがやっとかなって、観に行ってきた。

全体を観て、ここには確かな個性があると思った。
彼は時代や社会や人々の中で、それに寄り添い、それに染み入るようにして、その時代や社会を絵に表してきた。
その線、その色。彼の独自のそれを、ずっと感じていたい。
それは私の記憶にずっと残っていくだろうと思う。

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長谷川利行展 七色の東京

府中市美術館
〒183-0001 東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内) 電話:042-336-3371(代表)

HPから
 関東大震災から太平洋戦争の直前まで、昭和初期の東京を歩き回り、怒濤のように描きまくった画家がいました。近代化が進む荒川・隅田川沿い、千住のガスタンクやお化け煙突。隅田公園にできたばかりの屋外プール。あるいは浅草の神谷バー、カフェ、地下鉄の駅の賑わい。その街に暮らす、カフェの女給じょきゅうや浅草の芸人、質屋の子守といった無名の人々。復興進む大東京の光と影を、七色に輝く絵の具で描きとめました。

 長谷川利行(はせかわとしゆき、1891-1940)、通称リコウ。京都に生まれ、20代は短歌の道を志し、30歳を過ぎてから上京。ほとんど独学と思われる油絵が二科展にかてんや1930年協会展で認められます。しかし生活の面では、生来せいらいの放浪癖からか、浅草や山谷、新宿の簡易宿泊所を転々とするようになり、最後は三河島の路上で倒れ、板橋の東京市養育院で誰の看取りも無く49年の生涯を閉じます。

 利行の絵はその壮絶な生き様からは想像できないほど、明るい輝きに満ちて、時に幸福感さえ感じさせます。奔放に走る線、踊るような絵の具のかたまりが、行く先々の現場で描いた利行の目と手の動きをそのまま伝えます。本展では、近年の再発見作《カフェ・パウリスタ》《水泳場》、約40年ぶりの公開となる《夏の遊園地》、そして新発見の大作《白い背景の人物》など、代表作を含む約140点で利行の芸術の全貌を紹介します。

会期
2018年5月19日(土曜日)から7月8日(日曜日)まで

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