シリーズ:「聞き書き」を学び合う 第8回
高校作文教育研究会2月例会
高校作文教育研究会は、一昨年秋から2年ほどの予定で、会のテーマを「聞き書き」として、聞き書きの可能性、授業で実践する際の具体的手だて、その課題などを検討しています。
この間、私たちの例会や全国大会に、各地の中学、高校のすぐれた実践家10人ほどをお招きし、みなで共同討議をしました。聞き書きに関するさまざまな課題について、生徒作品を丁寧に読みながら、具体的に考えてきました。
その成果は、昨年6月から雑誌「月刊 国語教育」に連載中です。
2月の例会では、古宇田栄子さんが、40年近くの実践を振り返り、聞き書きについて報告します。
また、今回は新しい試みを用意しました。正則高校での宮尾美徳さんの実践は昨年の例会でも取り上げました。その時は、正則の学習旅行、その事前学習と事後学習の徹底ぶりに感嘆の声があがる一方で、その表現指導の不十分さを指摘する声もありました。今回はそれを踏まえて、具体的な代案を考えたいと思います。この企画では、この1年半にわたる会の研究がいかほどのものになっているかが試されることにもなるでしょう。乞うご期待。
どなたでも参加できる研究会です。どうぞお気軽にご参加ください。
1 期 日 2010年2月14日(日)10:00?16:30
2 会 場 鶏鳴学園御茶ノ水校
東京都文京区湯島1?9?14 プチモンド御茶ノ水301号
? 03(3818)7405 JR御茶ノ水駅下車徒歩4分
※鶏鳴学園の地図はhttp://www.keimei-kokugo.net/をご覧ください
3 報告の内容
(1) 聞き書きの世界
茨城 常総学院高校 古宇田栄子
聞き書きの魅力は、なんと言っても、聞き出した世界の豊かさにあると思う。それは、人の生き方の多様性であり、世の中の奥の深さであると思う。私が指導した生徒たちは何を学んでいたのだろうか。今、改めて、これまでに書かせてきた作品を読み返してみることで、生徒たちが学んだものはなんであったのかを考えてみたいと思っている。
(2)宮尾実践への代案
?再度の実践に向けて 東京 正則高校 宮尾美徳
三年前の「学習旅行」では、「聞き書き」に学んだ実践を試みた。生徒たちに「旅行」先で出会う方々のお話を、より確かに受けとめさせたかったからである。結果、課題も多く残された。数々の指摘も受けた。しかし、新たに見えたこともあった。いま三年経ち、再び「学習旅行」を目前にして、新たな表現指導の実践案を計画してみた。ご批判を請いたい。
?宮尾実践―私ならこう指導する(その1)茨城 常総学院高校 古宇田栄子
昨年の宮尾実践を聞いて、私には違和感があった。行事がいっぱい、感動がいっぱいの学習旅行を、生徒たちは、本当に書き切れたのだろうか。そもそも、宮尾さんは、何を、どう書かせたかったのか、見通しがあったのだろうか。宮尾さん自身、イメージができていなかったのではないか。それが、私の感想だった。
もうすぐ今年も学習旅行に行くそうなので、参考になればと思い、昔、学校行事や生徒会活動をリードしていた生徒たちに、総括として書かせていた作文をふまえて(あの時の強烈な反省もふまえて)、私ならこうする、という試案を発表してみたい。
?宮尾実践―私ならこう指導する(その2) 東京 鶏鳴学園中井浩一
聞き書きの検討を重ねてきて、結局、聞き書きの目的と構成と文体の三位一体の関係が問われていると考えるようになった。そして、こうした研究はこれまでほとんど行われてこなかったのだ。しかし、この三位一体の関係は聞き書きだけの問題ではなく、実はすべての表現活動に言えることだとも思うようになっている。
昨年の宮尾実践の不十分さとは、聞き書きの目的・ねらいがあいまいなことだと思う。今回は、学習旅行の事後学習としての表現はいかにあるべきか。また、そこで聞き書きの果たすべき役割は何か、そのための構成と文体はいかなるものであるべきか。それを提案してみたい。
4 参加費 1,500円(会員無料)