3月 13

2月11日の大震災の時、私は鶏鳴学園で授業の準備をしていました。
もちろん授業は中止になり、その日は帰宅できず鶏鳴学園に泊まりました。
ただし、元気でいます。

長野県の知人から次のようなメールが届きました。
「まだ全貌が見えませんが、今回の地震は東北地方だけの問題ではなく、
日本という国そのものの存亡に関わるような大惨事のような気がしてい
ます」。

私も、今回の地震の意味は大きいと思います。

自己決定ができず漂流している今の日本に、
その怯懦を改め、新生をはたすことを、
強くうながすような、大きな働きかけのように思います。

私たち一人一人が、自分自身の使命にどこまでしっかりと向き合っているか、それを再度チェックし、実践をしていきたいものです。

3月 11

今年は2回の合宿を予定しています。

 5月の3日から5日まで。
 8月の17日から21日まで。

 5月の合宿ではヘーゲルの『精神現象学』の理性論を読みます。
 文章ゼミや各自の報告の時間もあります。
 8月の合宿ではヘーゲルの原書講読の時間も取ることになります。
 全部ではなく、一部だけの参加も可能です。

 関心のある人は連絡ください。

 なお、初めての参加者には、事前に「自己紹介文」を書いていただいています。

 1. 簡単な履歴(年齢、大学・学部、仕事など)
 2. 何を学びたいのか
 3. どのようにこの学習会を知ったのか、なぜこの学習会で学びたいのか

 などを書いて、以下にお送り下さい。
 E-mail:sogo-m@mx5.nisiq.net

3月 10

江口朋子さんの「修了」を祝う会

 昨年から、ゼミは大いに盛り上がっています。
 参加者の一人一人の成長が著しく、相互に刺激を与えあって、
 ますます各人の成長に弾みがついているように感じます。

 この3月には、ついに「修了」者が出ます。
 江口朋子さんですが、約6年ほどの修業に一応の区切りをつけました。

 これまで「終了」者はいました。
 それは、ゼミに通い始めた当初の目的を達成した場合です。
 それもまた、めでたい卒業です。

 今回の「修了」は、そうした「終了」の意味も含みますが、さらに先の段階です。
 簡単に言えば、「一人でも、自分の道を切り開いてやっていける」と
 私が判断したことを意味します。

 具体的には、
 
 1.自分の人生のテーマ、人生の中心ができた
 2.自分のテーマを貫いて生き、テーマを実現するための最低限の能力と姿勢は身についた

 この2点です。

 これには前提として「親からの自立(親の価値観の相対化)」
 「民主主義者としての能力と姿勢」「学ぶ姿勢」「先生を選べ」の基準を
 クリアーしたことを含みます。

 江口さんは短歌の道に進みます。
 紆余曲折がありましたが、それらはすべて今後に生かされるはずです。
 また、江口さんには、今後、ゼミの主催者側のスタッフとして、
 新しいメンバーの受け入れを手伝ってもらう予定です。
 大学で言えば、講座の「助手・助教」のようなものです。

 この江口さんの「修了」をお祝いする会を、3月27日の晩に設けます。
 この会では、江口さん以外にも、それぞれの成果を祝いたい方々が多数参加します。
 
 

2月 07

村山 士郎 先生 特別講演会
?「聞き書きの魅力と指導法」連載終了記念? 
高校作文教育研究会3月例会

村山 士郎 先生 特別講演

演 題  事実をとらえることの豊かさとおもしろさ 
      ― 生活綴方実践から大学教育実践まで ―

メッセージ
 貴研究会で京都の八ヶ峰中学の実践に注目し、そこから「聞き書き」の今日的可能性を引き出そうとしていること興味深い視点だと思っています。80年代に私が注目した時には、学校ぐるみの平和教育としては注目されていましたが、私がもっとも大切だと思っていた表現の発達論的視点からの着目は希薄であったと記憶しています。
 生活綴方実践や私の仕事である大学教育実践において、今日、「事実をとらえること」の多面的な試みが不可欠になっています。言い換えると子どもや学生を「事実に向きあわせること」が学習主体に育てていくということです。ここに学びの原点があると思っています。その方法の一つに「聞き書き」が位置付くのかと思っています。
 私の教育学研究では、この間、「事件のなかの子どもたち」をテーマにして論文や本を書いてきましたが、その研究方法の前提には「事実と向きあう」、「事実を聞き取っていく」ことを大切にしてきました。しかし、八ヶ峰中学の生徒のようには表現出来ないもどかしさを抱えてきました。
 学習会では、上のようなことを、まとまりなく話してみたいと思っています。

村山士郎先生のプロフィール
1944年 山形県に生まれる
1977年 東京大学大学院教育学研究科博士課程修了
現在    教育学博士、大東文化大学教授
      日本作文の会常任委員会副委員長
主な著書  『生活綴方実践論』(青木書店、1985年)
      『平和を語る学校』(編著、労働旬報社、1986年)
      『子どもの攻撃性にひそむメッセージ』(柏書房、1999年)
      『なぜ「よい子」が暴発するか』(大月書店、2000年)
      『事件に走った少女たち』(新日本新書、2005年)
      『現代の子どもと生活綴方実践』(新読書社、2007年) ほか多数

高校作文教育研究会は、1998年2月に会を設立して以来、13年になります。この機会に、私たちの実践と研究をまとめようということになり、最も自信があった聞き書きについて取り上げることになりました。聞き書きは、高校生にとって、学ぶものがほんとうにたくさんあると実感していたからです。

そこで2年間ほど、研究会のテーマを「聞き書き」として、私たちの例会に全国の中学、高校、大学のすぐれた実践家17人をお招きし、聞き書きの可能性、授業で実践する際の具体的手だて、その課題などを検討してきました。
その成果は、「聞き書きの魅力と指導法」と題して『月刊国語教育』(東京法令出版 2009年7月号?)に連載してきました。約2年間、21回続いたこの連載も、2011年3月号をもって終了します。

この連載終了を記念して、村山士郎先生の特別講演会を開催します。

私たちの共同研究の成果をふまえて、さらに深めるための特別学習会です。参加者には連載の全コピー集を配布します。どうぞ、ふるってご参加ください。

1 期 日    2011年3月13日(日)13:00?16:30

2 会 場   鶏鳴学園御茶ノ水校
         東京都文京区湯島1?9?14  プチモンド御茶ノ水301号
         ? 03(3818)7405 JR御茶ノ水駅下車徒歩4分
       ※鶏鳴学園の地図はhttp://www.keimei-kokugo.net/をご覧ください
3 内容

(1) 特別講演 村山士郎先生 

(2)  報告

共同研究を終えて                                茨城 古宇田栄子

約2年間、共同研究の成果を、「聞き書きの魅力と指導法」と題して、『月刊国語教育』に連載してきました。連載を始めてすぐに、題名を「聞き書きの魅力と指導法」ではなく「聞き書きの魅力と可能性」とすべきであったと気付きました。それほど聞き書きの世界は、未知と可能性に満ちていました。共同研究では17人の実践とその生徒作品を検討しました。今回は、連載の終了を記念して、共同研究の概要、論点、そこで出会った実践家たちの珠玉の言葉等を紹介したいと思います。

 参加費   1,000円(会員無料)

2月 04

高校作文教育研究会は、昨年まで2年間ほど「聞き書き」をテーマとして研究してきました。大きな成果が出たと思います。

今年度は、その成果を踏まえながら、全国の実践家との交流をはかりたいと思っております。

表現指導には、実にさまざまな取り組み方があります。また、高校には多様な学校があり、多様な生徒たちが学んでいます。そうした多様な実態と、その中から生まれている多様な実践、多様な生徒作品。それらと向き合いながら、表現の可能性を広く、深く、考えてみたいと思います。

2月は、愛農学園農業高校の平岡敦子さんの登場です。愛農学園農業高校は、三重県伊賀市にある私立の全寮制農業高校です。1学年25人の生徒たちを相手に、唯一の国語科の先生として奮闘しているのが平岡敦子さんです。

また、聖心女子大学(文学部)の印出忠夫さんには、大学1年生への基礎教育として行っている半年間の表現指導の報告をしていただきます。

また、私、鶏鳴学園の中井は、昨年行った、聞き書きから論文、志望理由書までの指導を報告します。

どうぞ、みなさん、おいでください。

なお、参加希望者は、前もって以下に申し込みください。
  E-mail:sogo-m@mx5.nisiq.net

1 期 日    2011年2月20日(日)10:00?16:30

2 会 場   鶏鳴学園御茶ノ水校
         東京都文京区湯島1?9?14  プチモンド御茶ノ水301号
         電話 03(3818)7405 JR御茶ノ水駅下車徒歩4分
       ※鶏鳴学園の地図はhttp://www.keimei-kokugo.net/をご覧ください

3 報告の内容

(1)「経験文を書く」―大学での実践例
印出 忠夫(聖心女子大学文学部 東京)

 一昨年に引き続き、中井浩一著『脱マニュアル小論文』で提唱された作文指導法を、大学一年生対象の前期(2010年度)の教養演習「経験文を通して自分を知る」の場で実践した経験を報告します。  
今回は私自身が直面した課題 
? ポジティブな経験を具体的に書くのは、ネガティブな経験よりも難しいのか?
? 文章力のある学生に対する指導法    
以上2点について報告し、皆様のご意見をいただければと思っています。

(2)私立農業高校における国語教育
                   平岡 敦子(愛農学園農業高校 三重県)

愛農学園は、日本で唯一の私立の全寮制の農業高校です。生徒は農業を学ぶために全国から来ています。遠く離れた家族に自分の思いを伝える「一行詩」を8年間実践してきました。また、古典や漢文を学ぶ際には、必ず表現課題と結びつけた授業作りを続けてきました。
今回は「一行詩」の実践と、私が古典と表現教材をどう結びつけたのか、報告させていただきたいと思います。

(3)聞き書きから論文、志望理由書まで
                  中井 浩一(鶏鳴学園 東京)

聞き書きは、高校生が社会と自分を見つめ直す大きな機会になります。そこで生まれた問題意識を深めていけるような指導を、どう展開できるのか。論文、志望理由書へとどう発展させられるのか。それを昨年の実践から報告します。

ある女子高生には「不登校」の兄がいました。彼女はその兄を受け入れられずに避けて生きてきました。聞き書きをすることで、その兄と初めて正面から向き合って、彼女に大きな変化が生まれます。「私は今まで何も考えずに言われたことをただそのままやってきた受動的な人間だと感じたし、兄と比べると何と面白みの無い人間なのだと思いました」。
彼女のその思いを深め、今後に生かせるように指導しようとした試みです。

4 参加費   1,500円(会員無料)