5月 04
(1)大学生。社会人のゼミの成果のまとめ
1カ月、ゼミを休みにして、
昨年から読んで考えてきたことを原稿にまとめました。
ヘーゲルの『法の哲学』、『本質論』、『精神現象学』の「序言」。
マルクスの「ヘーゲル国法論批判」
許万元『ヘーゲルの現実性と概念的把握の論理』
についてです。
メルマガやブログで公開します。
こうした時間を定期的にとって、成果をまとめていく必要を強く感じました。
(2)村上隆「芸術起業論」を読みました。
痛快な本でした。
日本の現状批判と、世界で生き残るための戦略について、
単純かつ明快な主張で、気持ちが良かった。
本気で生きている人に触れた快感だと思います。
これほどシンプルな形になるまで、どれほど大変だったのかを考えました。
4月 24
5月、6月の読書会のテキストが決まりました。関心のある方の参加をお待ちします。
参加費は1回3000円です。
初めての方には、事前に「自己紹介文」を書いていただいています。問い合わせください。
事務局メールアドレス sogo-m@mx5.nisiq.net
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◇◆ 日程とテキスト ◆◇
5月30日 藤田省三「精神史的考察」(平凡社ライブラリー)
6月27日 中井久夫「精神科医がものを書くとき」(ちくま学芸文庫)
7月25日 未定
3月に藤田省三の「全体主義の時代状況」を読んで、あまり評価できませんでした。しかし、藤田の病気が大きな影響を与えていることは明らかなので、最も有名な「精神史的考察」を読んでみました。これは良い本です。中でも「松蔭の精神史的意味に関する一考察」には本当に感心しました。「全体主義の時代状況」に良い点があれば、「精神史的考察」のおかげだと思います。
歴史家としては彼の方法はかなり特殊ですが、この考察方法については、きちんと考えたいと思います。私たちは、自分の生きている時代をどう認識し、どうそれと関わって生きたらよいのか。これを考えてみましょう。
精神科の臨床医である中井久夫は名前を知っているだけでした。藤田省三が「全体主義の時代状況」で絶賛していたので読んでみたのですが、断然面白かった。文芸にも理解の深い、幅広い知識と、深い人間洞察のできる優れた臨床医だと思います。彼の仕事の中心は分裂病(統合失調症)の研究ですが、彼によって、分裂病の臨床は新たな段階に到っているようです。彼の仕事は私たちが、人間を深く考えるのに大いに役立つと思います。
分裂病についての有名な著作「最終講義 分裂病私見」(みすず)、「精神科治療の覚書」(日本評論社)がお薦め本ですが、やはり専門的です。そこで、一般人にわかりやすく説いていることと、入手しやすい点を考えて「精神科医がものを書くとき」をテキストにします。このタイトルからも、彼のセンスと姿勢が感じられますね。
7月には保守派の佐藤誠三郎「日本の失敗と成功」(扶桑社文庫)か、ルビンシュテインの「存在と意識」(青木書店)を読みたいと思っています。佐藤は保守思想家ですが、大きな人だと思います。東大教養部の教員でしたが、桝添要一、北岡伸一、御厨貴などが弟子です。
ルビンシュテインの「存在と意識」(青木書店)は、人間の意識と外的世界との関係を深く考察した古典です。圧倒的な思索力を持って、新たな地平を切り開いています。
決まりましたら、また連絡します。
4月 05
4月以降の文章ゼミ(文ゼミ)と読書会の日程は以下です。
読書会のテキストについては、後日発表します。
参加するには条件があります。前もって、鶏鳴学園まで連絡ください。
連絡は以下にお願いします。
e-mail:
sogo-m@mx5.nisiq.net
4月
11日 文ゼミ
5月
16日 文ゼミ
30日 読書会
6月
13日 文ゼミ
27日 読書会
7月
11日 文ゼミ
25日 読書会
※ヘーゲル学習会は5月より開始します。
1月 27
1月19日からの開始(以降、毎週月曜日)
前半が「ヘーゲルの原書講読」、後半が翻訳を読んでいます。
1)5時半より ヘーゲルの原書講読 『精神現象学』序文
ズーアカンプ版全集の第3巻と牧野紀之訳『精神現象学』(未知谷)を手がかりにします。
『精神現象学』序文。初回は34ページ上から17行目からです。
2ページほどを予習してください。
2)7時半より 日本語の翻訳でヘーゲルの『法の哲学』(中公バックス世界の名著版か、中公クラシックス版)を読んでいます。
『法の哲学』はヘーゲルの「近代社会論」です。
昨年は第3部の「家庭」「市民社会」「国家」論から読みました。それを終えて第1部にもどり、その第1章まで読みました。今年は第1部の第2章「契約」から読みます。初回は、第2章「契約」と第3章「不法」を範囲とします。数回で読み終え、その後は『精神現象学』の本文を読む予定です。
1月 27
現在、私たちの社会は大きな転換期を迎えています。高度経済成長はすでにはるか昔に終わり、全く新しい世界が生まれています。にもかかわらず、以前の制度や価値観、意識が今も支配しています。もちろん、あちらこちらで、既成の枠組みは破綻を示し、そのきしみが、あらゆるところから響いてきます。新たな世界をとらえ、それに対応する制度を作ろうと、一部の良識的な方々が努力はしています。しかし、誰もそれに成功していません。読者のみなさんは、こうした世界に放り出されているのです。
こうした時ほど、射程を長くして、今の時代の根底からしっかり考え直したいと思います。それは「近代」を徹底的に考え抜くことだと思います。「現代」は「近代」の一局面でしかありません。
ヘーゲルは、近代の原理(概念)をとらえることに成功した最初の哲学者だと思います。彼は、私たちにとっての最強の道先案内人だと思います。