10月以降の中井ゼミの日程と読書会テキストについてお知らせします。
日程は以下です。
10月
7日 読書会+「現実と闘う時間」
21日 文章ゼミ+「現実と闘う時間」
11月
4日 読書会+「現実と闘う時間」
18日 文章ゼミ+「現実と闘う時間」
12月
2日 読書会+「現実と闘う時間」
16日 文章ゼミ+「現実と闘う時間」
毎回、読書会+「現実と闘う時間」または文章ゼミ+「現実と闘う時間」
を行います。
なお、「現実と闘う時間」は、参加者の現状報告と意見交換を行うものです。
いずれも日曜日で、午後2時開始予定です。
ただし、変更があり得ますから、確認をしてください。
参加希望者は今からスケジュールに入れておいてください。また、早めに申し込みをしてください。
遠距離の方や多忙な方のために、ウェブでの参加も可能にしました。申し込み時点でウェブ参加の希望を伝えてください。
ただし、参加には条件があります。
参加費は1回2000円です。
読書会テキストについて
10月7日の読書会では
『新装版 苦海浄土』 (講談社文庫) 2004/7/15 石牟礼 道子 (著)
を読みます。
いろいろな版がありますから、間違えないようにしてください。
読書会で意見交換する際に、該当箇所のページ数や行数が合わないので、意見交換が難しくなります。
11月、12月には、公害としての水俣病に、研究者としての立場から取り組んだ宇井純氏、原田正純氏などの論考、さらに大きい視点から問題の本質に迫るような論考を読みたいと思います。まだテキストは決めていません。決まり次第、ご案内します。
この夏に、水俣病の現地である熊本県水俣市を2日間でまわりました。
初日は、水俣市立水俣病資料館では館内見学をし、語り部講話を聴きました。市内を少し回りました。
2日目は午前中は相思社の方にガイドしてもらい、市内を回りました。
石牟礼道子さんの関連地、チッソ、親水護岸(水俣湾に面し、慰霊セレモニーが行われる)、百間排水口(排水が流された所)、茂道(水俣病多発地域)、水俣病歴史考証館、陣の坂(薩摩街道、不知火海を眺望する)、坪段(水俣病多発地域)など。
午後は、「ほっとはうす」(胎児性水俣病患者たちの小規模多機能事業所)で代表者の加藤さんの話をうかがいました。
大学生のころから関心はありましたが現地に行くのは初めてでした。水俣とそこで起こった歴史と事件と人々が、私の中に浮かび上がりました。
帰ってから水俣病について学び始めました。石牟礼さんの『苦海浄土』を読み、これは戦後最高の文学ではないかと思いました。ここから読書会を始めたいと思います。
「糾弾」するのではなく、静かに深く人間の本質を描いています。人間の弱さも醜さも、強さもすばらしさも、すべてがここにあるように思われます。人間の魂とその行方が問われていて、その鎮魂の思いに、胸打たれます。
池澤夏樹個人編集の『世界文学全集』の中に、池澤が唯一日本文学から取り上げたのが、この『苦海浄土』だったことを知りました。その意味が今は分かるように思います。
〈ぼくがこの作品を選んだ理由 池澤夏樹〉
ある会社が罪を犯し、その結果たくさんの人々が辛い思いをした。糾弾するのはたやすい。しかし、加害と受難の関係を包む大きな輪を描いて、その中で人間とは何かを深く誠実に問うこともできるのだ。戦後日本文学からこの一作をぼくは選んだ。