1月 27
(1)2月 エーリッヒ・フロム (著) 『破壊 下 ―人間性の解剖 』
紀伊國屋書店 (1975/01)
昨年は秋葉原で起こった派遣労働者による無差別殺人が話題になりました。近年こうした犯罪が話題にされることが多くなりました。
本書は、『自由からの逃走』で有名なエーリッヒ・フロム(フロイト派の精神分析家)が、人間の破壊衝動について書いたものです。それを本能や環境のせいにする俗論を排し、人間だけの持つ意識のありかたから説明しようとします。豊富な症例やヒトラーの人生の分析が例示されます。
上下で800ページほどの大著ですが、核心は後半ですから、下巻を読みます。アマゾンでは「中古商品」で1000円ほどで入手できます。
(2)3月 「全体主義の時代経験 」(藤田省三著作集 6)? みすず書房 (1997/10)
購入される方は、単行本ではなく、 「藤田省三著作集 6」をお求めください。
藤田は『精神史的考察』で有名な歴史家です。本書は彼の遺書とでもいう本で、高度成長が終わりバブルで浮かれた80年代の精神状況を描き出します。著者は人類史と20世紀史から、その精神状況を「安楽への隷属」と規定しました。この「断絶」と「安楽への隷属」という規定は、今の時代の本質と深く関わっていると思います。