対等な関係における意見交換、相互批判の原則 その3
夏の合宿以降、ゼミ生相互の信頼感が急速に深まってきたようだ。一部にではあるが、活発な意見交換、相互批判が行われるようになった。
しかしそうした中で問題も出てきた。批判の言葉に傷ついたり、感情的になったりすることが起こってきたのだ。このことは当然予測されたことだ。一つ上のレベルへ高まろうとする限り不可避のことでもある。
師弟関係は上下関係だが、ゼミ生間は対等な関係だ。そこにはこれまでとは別の原則が必要になるのだ。
この10月に、その原則について話し合いをした。私は一般的な原則と感情的になることについての対策の2つを中心に提案をした。そのレジュメをここに3回にわけて発表する。
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◇◆ 仲間内でのアドバイスや批判をどう考えるか 中井浩一 ◆◇
2010年10月23日
二 感情的になることについて
(1)感情の根元性
1.感情や実感こそが、現実を直接に反映する、根源的なもの
2.それを否定したり、抑圧するのは間違い
3.しかし、感情は、生なままの、あいまいで混沌とした形で現れやすい。
例外的に、純粋な感情が吹き上げることはあるが、それはあくまでも例外
(2)感情の何が問題か
1.感情全体が問題なのではなく、怒りや憎しみ、恐怖などの、マイナスな感情が主に問題で、相手を攻撃しようとすることになりやすい。
2.しかし、プラスの感情(愛など)でも、相手への依怙贔屓などの問題も起こる。
3.それが問題なのは、
内容上の公正、公平さが損なわれやすいから
形式上の人格への配慮ができなくなりやすいから
(3)解決は思考による
1.普通は、感情内で、解決するのはムズカシイ。
2.普通は、感情問題を解決できるのは思考でしかない
しかし、その解決とは何か
(4)思考による解決とは何か
1.事前に感情をコントロールしたり、感情を抑圧することではない。(できないから)
2.感情に「含まれる」意味を明らかにすることしかできない。
「含み」を徹底的に明らかにすることによって、結果的に自然に感情をコントロールできるようになっていく
3.しかし、この作業は、無意識な部分を意識化することになり、深刻な問題を明らかにすることにもなる。深刻な内的な葛藤をも引き起こす。
自分に向き合う辛さがある。
したがって、それをどこまで進めるかは、最終的には本人次第である。
本人の主体性を尊重するしかないし、踏み込む範囲や迫り方には慎重でありたい。
4.以上をわきまえながら、「含み」について話し合い、相互に理解し合い、尊重し合い、前に進みたい。
5.今後、感情的なことが起こった場合、それを指摘し、その理由(「含み」)を考えるようにする
※感情の「含み」を明らかにしていく中で、感情にも「浅い」ものと「深い」ものの違いがあること、問題があるものとないもの、「含み」の自覚を進めるものとそうでないもの、などの区別が見えてくるだろう。感情内にも矛盾があり、それが「含み」をつくり、その意味を明らかにしているのだ。