1月 09
1月7日、札幌で講演をしました。
北海道高等学校教育研究会(通称「高教研」)国語部会でのもので、昨年刊行した『日本語論理トレーニング』、3年前に刊行した『脱マニュアル小論文』の内容をもとにお話ししました。
新しい学習指導要領は、私のこれまで行った問題提起を、大いに有効な物とする好機です。
北海道高等学校教育研究会は50年近くの歴史があり、
校長などの管理職、教員(組合)、教育委員会の3者が協力して行っていて、
総会では約2千人が集まったそうです。
高校だけの研究会ですよ。
私も参加した「国語部会」の打ち上げでは、校長も教員も和気藹々と、また時には激しく本音で不満や悩みを話し合っていて、こうした場があることにホットしました。
全国では、管理職と組合、教育委員会の3者が激しく政治対立し、教員の学習会は衰退しているの所が多いからです。
私の「ファン」の校長や先生方と話せたのも、嬉しいことでした。
11月 21
政権交代が実現し、大きな変化の予感におびえたり、急激な変化に憤ったり、先の見えなさに不安を抱えている人、右往左往している人がいる。
元に戻ることを願い、様子見に徹している人も多い。民主党政権が短期で崩壊すると予測し、またはそう期待しているのだ。
しかし、短期か長期かはわからないが、今は大きな「覚悟」を持つことが必要だろう。
民主党政権の命運が短かったとしても、自民党政権時代に戻ることはないからだ。これからは、政権交代が前提で、すべてが動いていくことになる。以前にもどることはない。
この見通しを持つと、物事への対し方が従来とは変わるはずだ。
これからは「変化」が常態になるのだ。これまでは「変わらない」ことが常態だった。
「変化」が常態になる時代には、従来のあり方に囚われず、いつも問題の根底から考え直し、どこまでも本質的に考えることが要請される。
志のある人にとっては、今こそ、チャンスなのだ。
民主党政権下での教育政策に関する原稿依頼があり、上のようなことを自覚した。
11月 18
11月6日に、全国高等学校長協会の部会である、教育課題協議会において、講演をした。
新しい学習指導要領の意義についてお話しした。
内容は、9月22日のブログで報告したことと同じなので、ここでは繰り返さない。
講演会終了後、全国高等学校長協会の会長の戸谷賢司氏、事務局長の小栗洋氏と話をした。
今の全国高等学校長協会にとっての最大の課題は、高大接続テストである。
このテストの趣旨は、大学生の学力保障のために、高校生の学力保障をしようとするものだ。
しかし、この問題は、突き詰めれば、そもそも、今の日本社会にとって「高校」とは何か、を問うことになる。
高校は義務教育ではないが、一方で97%の高校進学率を持つ。
高校卒業資格は、通学せずとも試験で簡単に入手できる一方で、
通学すると卒業までの単位は膨大で3年はかかる。
小中の義務教育で「落ちこぼれ」た大量の子どもたちが、
そのまま高校に在籍しながら、実態とかけ離れた学習指導要領と単位認定を受ける。
つまり、高校教育とは、日本の教育の矛盾が集約的に現れているポイントなのだ。
そこに、今、民主党の高校教育の無償化の政策が出てきている。
本来は、「無償化」の前に、高校教育の位置づけを、再度、国民的に議論するべきだろう。
11月 16
大修館書店のPR誌『国語教室』11月号が刊行されました。
私が参加した座談会の様子が、「新学習指導要領と国語科の『責任』」というタイトルで掲載されました。
すでに9月21日のブログで報告したように、新しい学習指導要領を入り口にして、これまでの国語教育、学校教育の問題点、その改革の可能性を論じ合ったものです。
他の出席者は以下の3人の教員です。
・藤森裕治氏(信州大学)
・釜田啓市氏(清真学園)
・臼田悦子氏(長野県野沢南高等学校)
9月22日のブログに書いたように、
今回の学習指導要領には画期的な点があります。
第1に、言語活動(思考、判断、表現)を教育活動の中核とし、すべての教科で指導すべき、とした点です。
第2に、その教育活動の中心に国語科が位置づけられたことです。
第3に、リアルな現実、生徒の体験が重視されたことです。
これは、これまでの学校教育、国語科教育の大きな課題の克服をうながすものです。
機会があれば、『国語教室』11月号をお読みください。
11月 13
11月9日。外部委員として、岐阜大学の経営協議会に参加した。
今の最大の問題は、政権交代で、先行きが見えなくなったことだ。
良くも悪くも、これまでのやり方が通用しなくなった。
第1期の中期計画、中期目標の評価も出て、
来年からの第2期の中期計画、中期目標が定まり、
いよいよ第2期へと動きだそうとした矢先。
大きな変革の嵐が吹いている。
まずは最重要なのがお金の問題だ。
しかし、来年度の予算がどうなるか、それがまるで見えない。
運営費交付金の1%削減の方針が、公約どおりに、本当に止まるのかどうかも不明だ。
特別教育研究経費も廃止が検討されている。
教員免許更新制の行方も不透明。教員養成の6年制も検討される。
医療問題。
医者養成への、医療費、医学部の定員増と予算の補充など、
すべて、まだ先が見えない。
岐阜大学の執行部は、従来確認された根本方針を堅持する覚悟を持ちながら、
変化の実態を冷静に見極めようとしている。
賛成だ。
こうした大きな変革の時には、
明確な理念、方針においてはぶれることなく
また、いたずらに、動くことなく、
実際の変化の姿を見極めることが大切だろう。